かっこいい経営者の原点〜人は自分一人では幸せになれない〜
一般社団法人キャリアブリッジ
代表理事 白砂 明子
キャリアブリッジの事業内容
キャリアブリッジは、2012年に法人化された会社で、行政からの受託事業が多く占めています。主に市や大阪府、厚生労働省の委託により、生活困難者や若者の自立支援、15歳以上の方の不登校・ひきこもり支援など多岐にわたる事業です。毎年400~500件の新規相談に対応し、特に若者サポートステーションでは年間約150人の相談者を受け入れ、さまざまな職種の専門性を活かして若者が自立し社会に貢献する道を見つける手助けをしています。昨年は80人以上が就職するなど、全国でもトップクラスの成果を上げています。
就労支援に対する思い
白砂さんは、若い時に大企業で働いた経験を持ちながらも、そのゆとりのないエリート風土に馴染めずに退職。その後、職業教育施設への転職を経て、ひきこもりやニートの支援事業に携わりました。2000年代の社会変動の中で、学校を卒業しても就職できない若者、働けない若者の増加にショックを受けたそうです。当時はまだ社会にニートやひきこもりという状態が社会的にも認知されていませんでした。
そこで、ビジネスマナーやコミュニケーションの講座、職場体験実習の企画を手がけ、社会的な認知を広めるのに貢献しました。社会への第一歩を踏み出すために必要な職場体験実習生の受け入れでは、今では同友会の方に非常に助けられていると感謝しています。
仕事に成長させてもらったという自身の経験から、若者の可能性を強く信じ「仕事は義務ではなく権利である」と、若者の就労支援に熱い情熱を注いでいます。
白砂さん自身の子供時代の経験もあり「人は自分一人では幸せになれない。身近な人や関わる人が不幸せだったら自分だけ幸せになれない。」と気付き、幸せは社会全体で共有すべきものだという思いが原点にあるとのことです。
経営上の課題と戦略
キャリアブリッジは設立初期に高い離職率に直面しましたが、これは行政からの受託事業単年契約であることと、ストレスの大きい現場環境が原因でした。白砂さん自身が現場に立っており、マネジメントが機能していなかったため仕事がどうしても属人的になり、個々の仕事の共有もできていませんでした。モチベーションの高い社員が燃え尽きてしまって退職することもありました。ただ、単年契約なので人材育成をしても雇用継続が出来ないかもしれないという思いもあったそうです。雇用継続の不安は社員も感じていました。
代表に就任してからは、事業の継続と発展に向けてスタッフの働きやすさを重視し、就業規則やフレキシブルな働き方を提供。また、スタッフ間の信頼関係の構築とチームワークを強化するための取り組みも行ったことで離職率を低下させることに成功しました。その一環として社員が各自の仕事を報告し、進捗と課題を共有する仕組みもつくりました。しかし、まだ経営理念の浸透に課題を感じていた時、ある企業に出会いました。若者の受け入れをお願いする際に、社長だけではなく社員さんを巻き込んでアプローチをしたり、就業が困難な方にも仕事がしやすいように仕組みの見直しをしたりしていたのです。
それが自社では出来ていないと気づいた白砂さんは、人材育成の仕組みや仕事の進め方を「見える化」することに着手しました。チームで質の高い仕事ができて、より良い支援・より良い地域づくりができるようになることが目標です。
また、キャリアブリッジでは、ほぼ全員が何らかの専門資格を持っており、別の仕事と兼務して活躍するメンバーも多くいます。
この「多様性のあるチーム」という強みを最大限に活かしていきたいです。
5年後のビジョン
2018年に代表に就任した後、2019年には指針セミナーを受講し、再認識したことは、キャリアブリッジが収益性の低い事業であることです。コンペで受託する事業のため、入札金額を抑えざるを得ないなどの理由です。その課題解決のために、2020年に新たな会社を立ち上げました。就労に困難を感じている障害者の方などをサポートすることに特化した事業です。こちらの事業は行政の委託ではないので、継続した事業として育てることもできます。
この事業の収益化に重点を置くことで、万が一の場合でも社員の雇用を守るだけでなく、より多くの人が希望を持って主体的に安心して暮らせる社会を実現することを目標としています。白砂さんの行動力とビジョン、笑顔と情熱により、キャリアブリッジは今後も注目される存在となるでしょう。
プロフィール
社名 一般社団法人キャリアブリッジ
所在地 〒561-0858
大阪府豊中市服部西町4丁目13−1
豊中市立青少年交流文化館いぶき3階
URL https://career-bridge.info/
創業/設立 2007年創業 2012年法人化
社員数 27名(非常勤含む)