融資に強い企業になれる!「知的資産報告書」作成のススメ

融資に強い企業になれる!「知的資産報告書」作成のススメ

今日のビジネス環境において、金融機関からの融資を確実に受けることは、多くの企業にとって大きな課題となっています。本記事では、そんな企業が融資に強くなるための鍵となる「知的資産報告書」の作成について、わかりやすく解説します。金融機関が注目するポイントを押さえ、自社の隠れた強みを効果的にアピールする方法を学びましょう。

融資に強い企業とは?
融資に強い、つまり、金融機関が融資をしたくなる企業ということです。金融機関の担当者が、融資したくなる企業の条件とはどの様な会社なのでしょうか?

  • 業績が安定している

  • 財務状況が良い

  • 従業員が定着している

  • 中小企業であれば社長のビジョンが明確である

  • 新たな事業の種を持っている

  • 取引先が大手である

  • 経営者の年齢によっては後継者が育っている

  • 事業承継がなされる

これら条件の中で、財務状況は決算書からわかりますが、社長のビジョンや取引先の状況、そして従業員の定着等、その企業がどんな仕事をしているのか、どんなお客様とお付き合いがあるのか、なぜその企業が顧客から選ばれているのかといったことは簡単にはわかりません。
昨今、金融庁の方針の下、地域金融機関には保証や担保等に必要以上に依存せず、企業の事業性を重視した事業性評価を行う事が求められています。しかし、地方銀行や信用金庫の担当者が決算書では見えない企業の現状や将来性を理解するのは難しいのが現状です。
これら自社の状況を説明できるツールを持っていたら、金融機関の担当者の負担も少なくなり、喜ばれると思いませんか?


自社の見えない資産を見える化するツール「ローカルベンチマーク」
私が中小企業の経営者にお勧めするのは「ローカルベンチマーク」(以下:ロカベン)への取り組みです。ロカベンは、企業の経営状態を把握するためのツールで、経済産業省が作成・提供しているものです。
① 財務分析
② 商流・業務フロー
③ 経営者・事業・事業環境・内部環境の4つの視点
上記のような3つのシートから成り、自社の現状把握を整理できるようになっています。また、将来の目標を設定し、目標達成にむけた課題の洗い出も行います。
「知的資産報告書」は、このロカベンをレポートとしてまとめたものを指します。


対話で取り組む「ロカベンシート」
ロカベンへの取り組み方は「ロカベンシート」の項目を埋めていく形で進めます。
②の商流・業務フロー、③4つの視点の2つのシートにしっかり取り組みましょう。
自分一人で項目を埋めることもできますが、特に効果的な使い方は、"対話"をしながら取り組むやり方です。誰かに質問をしてもらうと、脳が活性化して答えがどんどん浮かんでくるからです。質問者は、自社事業に詳しくない人の方が向いています。なぜなら、知らないので経営者の答えにすんなり納得しません。"なぜそんなことができるのですか?""誰もができるのですか?""いつからできたのですか?"等々、どんどん深掘りしてもらうことで、自社の見えない資産が見えてきます。


「知的資産報告書」の活用
出来上がった「ロカベンシート」を「知的資産報告書」にまとめておけば、融資を受けたいと思った時に、その報告書を見せて、なぜ融資が必要なのかを説明すれば、担当者の理解も早く、印象も良いでしょう。
そして、「知的資産報告書」は金融機関以外にも有効に使えます。例えば、補助金を申請したいと言った時の計画書のベースになりますし、社員さんにこれからの自社の姿を説明するツールにもなります、必要な部分を抜き出して会社案内としても使えます。ヒトが定期的に健康診断をするように、ロカベンへの取り組みも数年に1度見直しをすると、会社の変化が見て取れ、新たな発見があります。


まとめ
「知的資産報告書」の作成と活用は、融資だけでなく、会社運営全般においても大きなメリットをもたらします。このツールが、金融機関への印象を強くし、さらには社員やパートナーとのコミュニケーションにも役立つのです。企業の本質的な魅力を定期的に見直し、更新することで、ビジネスの持続的な成長と成功を目指しましょう。私は、中小企業診断士として経営のアドバイスをしています。中小企業診断士は国家資格なのですが、何をしてくれる人なの?とよく聞かれます。
中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務です。企業の事業内容をお聞きするのが仕事の基本です。質問は得意ですので、「ロカベンシート」の作成は、お近くに中小企業診断士に声をかけてみてください。

※取り組みに必要な「ロカベンシート」は経済産業省のHPでダウンロードできます。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

メイプル法律事務所著者
ミチタス株式会社
中本 美智子(中小企業診断士)

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